大好きな人と一緒にいる時、その目の前で自分が死んでしまったら…。
そして生まれ変わってからも、その記憶が残っていたら…。
あなたなら、次の人生をどう生きますか?「はじまりのにいな」は、まさにそんな状態になった女の子を描いた物語です。
はじまりのにいなについて
作者:水森暦
巻数:全4巻
簡単なあらすじ
新菜は、10歳の女の子。家族で引越してきた時に、ご近所の篤朗と出会って、思い出します。前世の自分が篤朗の恋人で、彼の目の前で死んでしまったことを。
新菜は、もう一度篤朗に恋をします。10歳だけど。篤郎は既に25歳になってるけど。それでも恋に落ちて、気持ちを告白します。
でも篤朗は、かつて目の前で死んだ恋人・千歳を忘れることができなくて、新菜をふってしまいます。新菜=千歳ということをあえて打ち明けずに、新菜は現在の自分として篤朗との新しい関係を作ろうと、決意します。
千歳とのエピソードが見どころ!
千歳としての記憶を持っている以上、新菜の行動には、かつての千歳の行動が見え隠れします。お人好しで、自分のことを後回しでつい人を助けてしまったり。ボールのように真ん丸の大型のおにぎりを得意気に作ったり。
そんな新菜の様子に、篤朗はだんだんと「もしかして千歳…?」と思うようになるのですが、その過程がたまらない!ドキドキしますし、切ないんです。だって新菜は、15歳年下ですからね。出会った当初は小学生ですからね。恋愛対象として、どうなのかと…。
でも2人は、やがて相思相愛になります。ところが新菜が家族の都合で引越しをすることになって、2人は遠距離恋愛になります。年の差という障害に加えて、遠距離という障害まで出てきてしまうんですね。
でも引越し先で新菜は、千歳の弟や母親と再会?します。当然、自分のことを千歳とは打ち明けませんが、久々に会った弟や母親を懐かしんで涙が出てきます。そして彼らも、新菜の様子を見ていて、なぜか千歳のことを思い出してしまう…。このあたりも、読んでいて切なくてたまらなかったです。
あと、新菜を見てハラハラとする篤朗も、見ていて切ない!千歳は、人助けをする時に事故で死んでいますから。篤朗は、新菜が持ち前のお人好しな性格で人助けをするたびに、また目の前で死んでしまうのか!と心臓が止まりそうになるくらいに心配するんです。
千歳を失った篤朗の心の傷が、どのくらい大きかったのかが伝わってきます。
こんな人におすすめ
転生モノですけど、ファンタジーではなく純粋にラブストーリーです。年の差カップルとか、遠距離恋愛の切なさが好きな人には、おすすめの作品です。
そして、自分が生まれ変わっても、相手が生まれ変わっても、少しも変わらなかった恋心。こんな不動の愛情の物語を好む人も、ぜひ読んでみてください。