「ああ、何か面白い漫画が読みたいなあ」
そんなふうに思うこと、ありますよね。
- 「素敵なラブストーリー」
- 「ほのぼの日常系」
- 「王道ファンタジー」
- 「哲学的な不思議な話」
- 「学園もの」
- 「お仕事もの」
それらのバラバラな魅力を、全部備えている作品なんて……。
実は、あるんです！
それが入江亜季先生の、連作短編集『群青学舎』です。基本的に一話～数話で完結する短編漫画で、それぞれの世界観も、作品のタイプもガラリと変わります。
飽きずに食べられる、幕の内弁当のような珠玉の短編集。キラキラした、緻密で美しい、それでいてどこかレトロな絵柄も、大きな魅力の一つです。
群青学者について
作者：入江亜季
巻数：全4巻
あらすじ
同僚の都さんと春日くんの関係の変化を描いた「ピンク・チョコレート」など、何度も登場するシリーズもありますが……。個人的にとても推したいのが、二巻に収録された王道ファンタジー&ラブロマンスの「北の十剣」シリーズです。五話からなる中編で、どこか懐かしいファンタジーを、たっぷりと味わえます。
物語の舞台は、架空の北の国「北の十剣」。兄王を弟が殺し、その子供達も手にかけるというクーデターを起こします。
幼い頃から、根深い不和を抱えていた兄弟。父王や兄達を討たれ、末娘のグゼニア姫は、命からがら城を抜け出します。忠臣達の助けを借り、生き延びる為に。彼女を追う命令を受けたのは、グゼニアにとって従兄にあたる、簒奪者の息子ルーサー。
追い追われ、剣を交える両陣営。しかし捕らえたグゼニアを、ルーサーはなぜか手当てします。そしてグゼニアも、なぜか憎い彼を憎み切れません。敵対する家に生まれながら、心の中で惹かれ合っていた二人。
やがてグゼニアは、王座を奪還する為に城を目指します。ルーサーは、果たして父親とグゼニア、どちらを救うのか……。
ドラマチックな愛憎と、戦いの物語です。
素敵だなと感じるポイント
まずは、ヒロインであるグゼニア姫です。美しく勇敢で、絶望の中でも立ち上がる芯の強さがあります。自分を強姦しようとした相手の舌を噛み切り「もう一度来い！今度こそ仕留めてやる！」と挑発する目の強さ、美しさ。長い銀髪や、しなやかな身体つきも魅力的です。
それでいて、従兄であるルーサーへの淡い恋心を秘めているところ。幼い頃から、密かに彼を慕っていました。
腕が立ち、陰があり、グゼニアに非情になりきれない、ルーサーも魅力的です。少しくたびれたところが、また……。
ちなみに三巻収録の「待宵姫は籠の中」は、エキゾチックなお姫様と盗賊の、恋と自立の物語です。
強くて、頑張り屋な女の子は素敵です。
