学校に通っていて、苗字がかぶっていることがありませんか?
たとえば佐藤さん、高橋さん。クラス内で何人もいたりすることありますよね?先生も佐藤!と呼んでも、どのひとだかわからなくて、担任の先生はともかく、教科の先生は戸惑ったこととかありませんか?
そこで今回は、同じクラスに四人の小林が集まった、「おまけの小林クン」を紹介したいと思います。
おまけの小林クンについて
作者:森生まさみ
巻数:全16巻。文庫本8巻
簡単なあらすじ
向日葵高校一年A組には、三人の小林がおりました。一人は学級委員を務める小林吹雪、一人は美形だけども正確に難がある小林千尋、そしてもう一人は野球バカで無愛想な小林健吾。この三人は「A組のバミューダ・トライアングル」と呼ばれるほどに恐れられておりました。
そこに最後のひとり、小林大和少年が転校してきたときから話は始まります。
まるで小学生のような容姿だけれども、常に笑顔を絶やさず、やさしい大和―ー「小林クン」と接するうちに、三人はそれぞれ人と接する態度が変わっていきます。
少しずつ踏み込んで解きほぐす、三人の小林それぞれの悩み。やがてクラスメイトたちにも溶け込み、学園生活を楽しむようになっていきます。
四人の関係性がみどころ!
学生って、いろいろありますよね。部活で挫折したり、どうしようもない家庭環境があって自立心が芽生えたり、はたまた、ひねくれたり。
そういう、「どうしようもないこと」に直面し、過ごしてきた三人が、あらためて自分のことではない、誰かのことや周りのことに目を向けていく、こどもから大人への過程を描いた作品です。
何気ない思いやり。さりげないやさしさ。見た目だけではわからない、接しただけではわからない、ひとの深さ。単なる言動でも「こうだったのかもしれない」と考えられる人のやさしさ。
若々しい感性の中で直面するつらさと苦しさ、そしてあたたかさ。何気ない一言が、そっと背中に添えられる手が。いこうよ、と笑って差し出される笑顔の尊さを知る、何気ない日常の愛おしさが詰まった作品です。
人として好ましいひと。
いとおしいひと。
隣で生きていたいと思う人。
手をつなぎたい人。
たんなる恋愛の関係性では収まらない、人としての関わり。
そうして踏み込んでいく家族を描くような、あたたかいお話です。
こんな人におすすめ
彼らと同じ年頃の学生さん、もしくは、卒業した社会人の方にもぜひ。
ひとと関わること。大切にしたいことはなんだろう。どうあってほしい? どうみえている?
そんな、ひとを思いやることを教えてくれるお話です。