顔を見たことない相手と恋愛はできるのでしょうか?そんな平安時代の文化?をテーマにした千歳ヲチコチをレビューしたいと思います。
千歳ヲチコチについて
作者:
巻数:全8巻
あらすじ
主人公はおっとりとした、虫等も愛する平安時代の下級貴族の娘。
特に恋に憧れたり、出世にも興味がないのですが、ある日ふとした事で、書いた手紙を手に入れた相手に興味をもってしまい……となると、ラブレター?と思われそうですが、そうではありません。
手紙を手にしたのは、若くて上流貴族だけれど、どことなく世俗にまみれていない達観した雰囲気の青年。その手紙を読んで、返事を書いたところ主人公は、その返事をくれた相手に会いたい……と望むようになり……。
という形でストーリーが展開されていくのですが、なんとこの二人、お互いに会いたい、顔を見たいなどと望みながらも最終巻近くまで、お互いの顔を見ることがないのです!
感想
主人公はおっとりとして何事にも動じないながら、突飛な行動を思いつき実行してしまう意外さや、誠実でかつ将来性あり!なんだけど、そういった事に興味を示さない青年。
その二人をとりまく、脇役たちも個性豊かで、読み進めてあきることがありません。
主人公の乳母である女性は、普段はクールなてきぱきとしたキャリアウーマン風なのに、極度のショタコンだったり、青年の友人である、やはり上流貴族の青年は「自分の才能が怖い…」と言いながら、実際難題を何気に解決してしまったりと、平安日常コメディ要素が強いのも、この作品のよみどころでした。
恋愛モードを期待して読んでしまうと、なかなか出会わぬ二人にじりじりとしてしまうかもしれません。
しかし、おっとりした主人公が騒がしい日常でふと、手紙の相手に会いたいと思ったり、青年の方は手紙の主は、どんな女性なのだろうと思っているのを、周囲に察せられたりと、おだやかな生活の中に、訪れる心やすらぐような展開が続いていきます。
ラストの出会いでは思わず「おおおっ…やっと…(二人が)会った…!」と感動してしまうほどでした。
途中、ちょっとした重たい要素はありますが全体的に爽やかで、爆笑とまではいかなくても1冊1冊を楽しい気分で読ませてくれるシリーズでした。