『ひるなかの流星』の著者の作品です。頑張り屋の女子高生が年上の男性に好意を持ち、人として女性として成長していく姿を描いた『椿町ロンリープラネット』をレビューしたいと思います。
椿町ロンリープラネットについて
作者:やまもり三香
巻数:全8巻
感想
主人公の女子高生は読み手全員が好感を持てる、とても素直で純粋な女の子で応援したくなりますし、一方好意を持たれる男性は人間として少し欠如している部分がありながらも、女性であればキュンとしてしまうような可愛い部分のある人物像なので、その人の一言一言にドキドキしたり心が苦しくなったりします。
また、周りの友人など登場人物全員がどこかしら自分と重ねてみてしまう様な、人間性が豊かでそれぞれ悩みを持ちながらもひたすら一所懸命になって生きている様が、読み手の心を良くも悪くも動かしてくれます。
少女漫画で多い、とても意地悪な人がいたり大きなアクシデントに巻き込まれてといったイベント的な要素を取り入れず、実際にあり得る状況の中で主人公が一喜一憂し、すこしずつ二人の距離が近づいていくといった内容で読者の期待を裏切ることなく話が進んでいきますので、とても素敵な作品だと思います。
まだ完全に大人になる前の主人公の心情は、自分がその当時味わった事が一度はある切ない思いであったり、本当に些細な事であっても好きな人の言葉で元気をもらえていたなと思い返す事ができるので主人公を通して青春をリプレイしている感覚になることができます。
また、絵もとても綺麗です。主人公は素朴な感じでありながらも、どこか一本芯の通った表情をよくします。自分もこんな人間になりたいなと思わせてくれます。
また、この作品のいいところはもう一つあって、『間』がとてもいいのです。男性が一言発した後の、主人公が受けた気持ちを口元だけで表見してみたり、後ろ姿だけで表現していることが多いのですが、その描き方が余計に読み手の心に響いてきますし、自分に置き換えて表情を想像することができるので、登場人物にどんどん自分が重なっていく感覚がわかると思います。
読んでいて決して嫌な気持ちになったり辛くなるということはなく、切ないけどもっと頑張って!とひたすら応援したくなる漫画です。
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