テニスを題材にした少女漫画と聞くと、皆さんはどんな漫画を想像するでしょうか?
古い漫画ですが、やはり「エースをねらえ!」あたりが一番有名なのでしょうか?
私は断然「しゃにむにGO」という作品を推します。
しゃにむにGOについて
「花とゆめ」で連載されていた作品で全32巻の長編。作者は「赤ちゃんと僕」で有名な羅川真里茂先生です。
あらすじ
伊出延久という少年が、美少女に惹かれてテニス部に入部し、最高のパートナーであり、最大のライバルとなる滝田留宇衣ら仲間とともに成長していく姿を描くスポーツ漫画です。
と書くと、「スラムダンク」と似てるな、と思う方もいるでしょう。確かに、ポジティブで明るい初心者延久と、常に冷静沈着で中学時代から既に有名人の留宇衣は、花道と流川を想起させますし、花道がバスケに興味を持ったのも春子さんがきっかけでしたよね。
この点に限らず、本作には少年漫画的な空気が感じられます。少年漫画の良さを取り入れ、少女漫画の良さも保持している点。これこそが、「しゃにむにGO」の特徴であり、面白さの秘訣ではないかと思います。
スポーツものの醍醐味といえば、試合の迫力ある描写に、プレイヤーたちの鬼気迫る感情の表現です。これらは少年漫画が少女漫画より長けている部分だと思いますが、「しゃにむにGO」はその部分を少年漫画の作品と比べても遜色ない、むしろ優れているくらいのクオリティで描いていました。
私も高校時代はテニス部に所属していましたが、試合のシーンはどれも元テニス部の血をたぎらせてくれました。
一方で、試合シーン以外でも登場人物の心理描写は丁寧。高校生たちの青春ドラマとしても魅せてくれます。これは少女漫画の得意分野ですね。
同じく少女漫画らしい長所と言えるのがテンポの良さです。
少年漫画では、試合シーンを重視するあまり、作品のテンポが遅くなる傾向がありますが、
「しゃにむにGO」はストーリー上不要な試合はごっそりカットするなど、作品全体のテンポを考えて構成されています。
全32巻でちょうど高校3年間をカバー。同時期に連載していた「テニスの王子様」が
それ以上の巻数を1年足らずに費やしていることを踏まえると、テンポの良さが分かるでしょう。
かといって、試合シーンを蔑ろにしているわけではないのは、先に述べた通りです。
以上のように、少年漫画の良さを兼ね備えた少女漫画『しゃにむにGO』。女性だけでなく男性にも楽しめる名作です。
スポーツ好きの恋人(伴侶)のいる方は、相手にも勧めて共通の話題とするのもいいかもしれません。