男装の麗人って、凛々しくてカッコよくて、それでいて美しくて憧れますよね。今回は、そんな男装の麗人が音楽と革命とに翻弄される物語「オルフェウスの窓」をご紹介します。
オルフェウスの窓について
作者:池田理代子
巻数:全18巻
簡単なあらすじ
「オルフェウスの窓」は、1900年代初頭のドイツから始まります。
主人公ユリウスは、男装の麗人。本当は女の子なのですが、アーレンスマイヤ家の遺産を狙って、当主の妾腹の息子として名乗り出ます。無事に受け入れられて、アーレンスマイヤ家で生活を始め、音楽学校にも男子生徒として通い始めます。
そして、そこで出会ったバイオリン科の男子生徒クラウスに恋をします。でも男として生きている以上、気持ちを打ち明けることができません。
ひょんなことから女性とバレ、2人はお互いの恋心を確かめ合います。ところがクラウスは革命のために、故郷ロシアへと帰ります。そしてユリウスは、アーレンスマイヤ家や音楽を捨てて、クラウスを追いかけてロシアへ…。
革命の中で広がる愛が見どころ!
クラウスが、すっごく素敵です!音楽の才能も愛をも捨てて、革命に身を投じます。元々はひょうきんな青年なのですが、革命の厳しさが、彼をどんどんシリアスにしていきます。でもそれでいて、やっぱりどこかひょうきんで、表情豊かなので見ていて楽しいです。
ユリウスが家や音楽を捨てて自分を追いかけてくるのですが、一度は革命のために彼女を突き放します。そのことをとても辛く思っていて、しかも再開した時には、彼女は記憶を失っていました。今度は手放さない!と、記憶喪失のユリウスを革命から守りつつ、一緒に暮らし始めます。でも最後には、彼女の目の前で銃弾を浴び…。
また「オルフェウスの窓」にはイザーク編もあって、こちらはかなり音楽色の強い物語になっています。ウィーンへ行き、ピアニストとしてどんどん成長していくイザーク。
でも戦争がはじまって、兵士として戦わなければならなくなります。そして指を傷めて、ピアノを弾くことが難しくなります。成功していた分だけ、イザークの苦悩は見ていて辛かったです。
でもイザークは、それでも音楽の世界に戻ってくるんです。そしてそこで、ロシアでのショックで精神崩壊したユリウスを、音楽の力で目覚めさせようと努力します。音楽を中心に人々を動かすイザークもまた、クラウスとは違う意味で魅力的です!
こんな人におすすめ
愛は人間の根底にあって、どんなに辛いことがあっても捨てることが難しい。こんな深い愛情物語を好む人に、おすすめです。
また、ロシア革命前後の時代が好きな人にもおすすめです。アンティークなドレスと、近代的な武器や軍服とが両立している時代です。どちらの魅力も、この作品では堪能できます。