明治時代、女性がやりたい事が出来なかった時代、主人公の志乃が面白可笑しく、感動も交えてお届けする夢の大冒険と大恋愛の物語「NY小町」を紹介します。
N.Y.小町について
作者:大和 和紀
巻数:全8巻
簡単なあらすじ
文明開化の明治時代、16歳まで男の子として育てられた志乃は、突然、父親から女に戻る様言われ、途方に暮れます。そんな中、偶然助けたアメリカ人、ダニーからニューヨークに行けば、女性も自由になれると聞き即決、密航するのです。
ところがその密航船は、ダニーが開拓の為にえぞ地(北海道)に行く船で、ここから志乃とダニーの笑いと感動の恋愛物語がスタートするのです。
「NY小町」の見どころ
明治時代の女性活躍が難しい時代、その中にいて男性に負けていない志乃の行動力は、見ていてとても気持ちが良いです。
志乃の考え方は、現代でも通じるし、周りが何と言っても関係ない、やりたい事をやりたいようにやる、そうやって夢に向かっていく姿がとっても素敵なのです。
ついでに言えば16歳まで男として育てられたので、男としても容姿、性格ともに男前です。そして、志乃とダニーのお互いを愛する気持ちは、何よりも強くて揺るがなくて、心の底から感動出来ます。誰も二人の邪魔は出来ない、とても固い絆で結ばれている、そんな場面が時々あって、心もとても温かくなるのです。
明治時代に珍しい国際結婚
国際結婚なんて今では、普通に有ります。現在は私の周りも国際結婚カップルが沢山います。でも明治時代は違います。日本人同士の恋愛も少なかった時代に、外国人との恋愛、結婚なんて家族から見たら、言語道断だったのではないでしょうか。
志乃の様に強い人でないと日本に居ても、アメリカに居ても、国際結婚を成功させることは出来なかった時代だと思います。でも真実の愛はいつの時代でも国境はないのです。
時々出て来るパロディも楽しい
志乃が家を出る時に子桃に残したメッセージ「私はニューヨークに行くから」、これを子桃は、入浴(にゅうよく)に行くからと思い、湯冷めしないでね~と言って寝ぼけ眼で送りだします。その時志乃が使ったかご屋は「世界的有名なルイスのカゴ屋」でした。
こんなパロディがところどころに見られます。大和和紀先生の他の漫画でも見られるのですが、時々出て来るこのジョーク、とても楽しいです。
気持ちが前向きになれる漫画
とにかく読んでいて楽しくて、志乃の前向きさから勇気が貰えます。落ち込んでいる暇があるなら、前に進め、と言う感じです。
フィクションなのに、実際にある話の様に、登場人物やストーリーに熱中して入り込んでしまいます。真面目に進む部分もあれば、あり得ない漫画のハチャメチャ話として描かれている部分もあるのですが、どっちの場面であっても、元気な志乃に元気を貰えます。
主役はどこから見ても志乃
少女漫画の多くは、主役は女性、でも出て来る男子がカッコ良くて、主役女子よりも男子のファンになってその漫画に熱中する事が多いです。
でもこの話、やっぱり志乃が一番です。ダニーも三郎もカッコ良いのだけど、やっぱり志乃ちゃん、
あなたの魅力には他の誰もがかないません。
こんな方には是非読んで欲しい
私は昔から海外にあこがれを持っているので、こんな時代の志乃が、アメリカと日本を行き来して冒険する生き方が、とっても羨ましいと思いました。
私自身もそうでしたが、海外に出たいと思いながら、迷っている女の人には是非とも読んで欲しいです。これがきっかけになるかどうか分かりませんが、こんな難しい時代でも女性が海外に出る話はゼロではなかったのです。ちょっとは勇気を貰えると思います。