非日常的な内容もいいですが、何気無い日常系もいろいろと考えさせられるものです。
そんなことを思わさせる「みかん・絵日記」についてレビューしたいと思います。
みかん・絵日記について
作者:安孫子三和
巻数:全14巻
あらすじ
主人公はオレンジ色の毛並みをした「みかん」という猫。しかしこの猫、ただの猫ではなくなんと人間の言葉を話し2本足で立って歩く変わった猫なのです。
物語はこの不思議な猫が後に飼い主となる草凪叶夢と出会うところから始まります。不思議な猫といってもしゃべる・2本足で歩く以外は普通の猫。魔法を使ったり、主人公をヒーローにすることはありません。叶夢やその家族や友人、近所の猫や犬たちと関わりながらほのぼのと、時にはぶつかり合いながら絆を深めていく物語です。
感想
今でこそ動物が人間の言葉を話し、人間とやり取りするという内容の漫画はたくさんありますが、子供の頃に私が初めてこの漫画を読んだ時には猫が人の言葉を話すなんて、なんて素敵な発想だろうと衝撃を受けました。
しゃべる・立って歩く以外は普通の猫ですが人間の言葉がわかるのでいろいろと得をする一方で、人間とのかかわりの中で起こる問題により敏感に反応し心を痛めるみかんの姿は、言葉が通じないから人間でないからと私たちがいかに彼らの気持ちをぞんざいに扱っているか考えさせられることもありました。
この物語の魅力はみかんだけではありません。みかんのまわりの人間や猫達もキャラクターのバリエーションが豊かでみなそれぞれに魅力的です。
みかんがあまりかかわらない人間同士のやりとりも多くあるので、みかんの視点を通しながら人間って大変だなと思ったり、猫達にも飼い猫・野良猫それぞれに楽しさや苦労・主張がありいろいろあるんだなと感心したり。時には話の展開に涙することもありますが、登場人物たちが巻き起こすドタバタにクスッと笑えたりほのぼのと読み進められます。
日常的な生活が中心なので戦闘物のような非日常性や激しいドキドキ感はありませんが、だからこそ日常のふとした瞬間に思い出したり、自分の体験と重なってジワジワと胸にしみ込んでくる漫画です。
猫好きな人も、そうでない人も是非一度読んでみてください。読み終わった後には思わず猫に話しかけたくなるそんな魅力を持った漫画です。