ポップな絵柄に定評のある勝田文さんの漫画『マリーマリーマリー』が、第6巻をもって、無事、完結となりました。
この機会にレビューさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
マリーマリーマリーについて
作者:勝田文
巻数:全6巻
基本情報・あらすじ・概略
『マリーマリーマリー』は、雑誌『ココハナ』に掲載された作品で、集英社のマーガレットコミックスから出版されています。
大まかなあらすじは、鍼灸師である女性主人公リタが、ライブハウスで出会ったミュージシャン(ギタリスト)の森田と交際するようになり、やがて結婚生活が始まる、というもの。
こう書くと何の変哲もない恋愛物のようですが、実は、かなり早い段階で2人は結婚してしまいます。
ですから本編のほとんどは、2人の結婚生活や、日常の中で巻き起こるさまざまな少しコミカルな事件の顛末などとなっています。
内容的には、全編を通して1つの大きなストーリーになっているというのではなく、基本、1話~数話で完結するエピソード集といった感じです。
会社勤めではない自由人カップルが魅力
『マリーマリーマリー』の大きな魅力は、全編に漂う、どこかゆるくて自由な雰囲気です。
その中心となっているのが、何といっても主人公の結婚相手、森田。
超が付く自由人なのですが、ポイントなのは、人に迷惑をかけるようなタイプではないということ。
もちろん、自由過ぎてヒロインが振り回されたりもするのですが、『うわ、こいつ、何やってんの……人の迷惑、考えろよ』みたいなことはいたしません。
妻である主人公のことも大切に思い、ちゃんと愛している、『変わっているけど、いい男』なのです。雰囲気的には、自由人系俳優の代表格・オダギリジョーさんを少し小ぎれいにしたような、飄々とした雰囲気だが枯れ過ぎてはいない感じが印象的です。
一方、ヒロインのリタはというと、常識人ではあるものの、四角四面・なんでも規則通り! というタイプではなく、時に森田に戸惑いながらも、けっこう、ついていっています。
また、リタ自身、どこか、ほわんとしたところがありますから、読んでいて心が苛立つことがありません。そういう意味では、癒し系のお話ということができるかも知れません。
2人を取り巻く人々も、いい意味で、あくせくしていない人が多く、下町のゆったりとした日常感が漂っています。
途中から出てくる登場人物の中には、イケメン売れっ子ミュージシャン的な立場の人もいるのですが、いいキャラをしており、作品にコミカルなテイストを加えています。