簡単なあらすじ
幼馴染の摩利と新吾が名門旧制高校の持堂院高等学校に入学したところから物語は始まります。
学園生活や留学、摩利と新吾の高校生から大人になる間の恋についても書かれている青春浪漫の物語です。
切ない恋と、学生生活の見どころ【感想】
まず、持堂院高等学校にいる生徒一人一人がとても個性的なのです。生徒だけではなく教師たちもとても魅力的で個性的です。
持堂院高等学校は全寮制の男子校なので、様々な事件が起こります。近隣の女学校と新年の歌貝合わせをするのですが、その女学校の人達がほぼ男嫌いだったり、運動会があったり、ストームが合ったり。
学園物なので勉強のシーンもあります。みんな必死に勉強する姿も見られるのですが、そこもまた面白いのです。留年するかどうかに一喜一憂するキャラクター達、大学受験等も書かれています。至る所で歌われる持堂院桜豪寮歌が是非一度生で聞きたいと思うほどの迫力です。
物語の中心人物の一人として書かれる摩利は混血の美少年ではありますが、混血である事を幼いころからからかわれていました。その頃から一緒にいてくれた新吾へ淡い恋心を持っているのです。
でも序盤では「親友」といい恋心を隠しているのが切ないです。摩利の叶えられない恋心を知った上で摩利を慰め抱き、助ける夢殿先輩がかっこいい!!
途中、新吾は両親を事故で失い、摩利の気持ちに気づくと自分を見直すために旅に出て自分の思いを改めて確かめます。親友なのか特別な存在なのか。その旅から帰ってくると新吾は摩利を特別な存在と思い「俺の摩利」と呼ぶのですが、この新吾の恋心は摩利が新吾に抱いているものとは違うのです。その事に新吾が気づくのは欧州に留学してからセルビア人のドリナという女性に出会い、本気の恋をしてからなのです。
欧州では第一次世界大戦が起こる中、新吾はドリナとの恋にのめりこみます。また、医学を勉強している新吾はドリナの革命の同志達の怪我の治療をしたりとドリナとともに時間を過ごします。
しかし国政によってドリナはセルビアに帰ることになります。新吾はドリナをセルビアまで送っていこうとするのですが、彼女の答えは「NO」でした。新吾の医者として両親が営んでいた病院を再開し実家を再建する夢とドリナの国の独立の夢がかみ合わなかったのです。
この別れ際に新吾がドリナに持堂院桜豪歌を教えるのですが、今までド迫力で「バッキャロー!!」等の荒々しい言葉とともに歌われてきたこの歌がとても切なく聞こえるのです。
その後、摩利と新吾の関係がどうなったのかは詳しくは是非本編を読んでください。後半は涙なくしては読めません。また番外編などもあるので、本編を読み終わってからも摩利と新吾達の生活を覗き見ることが出来ます。
こんな人におすすめ
男女の恋愛ものでは物足りなくなった方、男の美学を感じたい方。切なく許されない恋をしている方にこの作品をおすすめします。また、甘く酸っぱい青春を再度味わいたい人たちにも読んでみてもらいたいです。