フルーツバスケットについて
作者:高屋奈月
巻数:全23巻
あらすじ
主人公の女の子、透がひょんなことから同じクラスの美青年、ユキとその保護者代わりのシグレと一緒に暮らし始めます。
ところが、ユキ達一族には異性に抱きつかれると十二支の動物の姿になるという呪いがかかっていたのです。そんな彼らが、透と接する事で少しずつ心を開き、変わっていく姿が描かれています。
感想
この話の魅力は、まず透の優しい言葉の数々です。その言葉に感動し、何度も泣いてしまいました。また、それは読んでいる私をほっこりとした優しい気持ちにしてくれる時もあります。
マイペースでボケっとした感じの透ですが、欲がなく、小さい事にも感謝できる、そのピュアな心にただただ感心しました。現実世界に彼女のような人が増えれば、人間関係の揉め事はほとんどなくなると思います。
ユキ達一族の中には、呪いのせいで心を閉ざしている人もいましたが、透と出会い、接する事によって少しずつわだかまりが取れ、心がほぐれていく、そんな変わっていく彼らを見て、何度も勇気をもらいました。
当時、自分の性格に不満があった私は変わりたいと思っていましたが、そう簡単には変われず悩んでいました。そんな時にこの漫画に出会って、変わらなければいけない時もあるけど、そのままの自分を受け入れてくれる人もいる、そう考えられるようになりました。
透の行動、言葉、前向きな姿、そして彼女をとりまく人々の心の変化に、人間として学んだ事がたくさんあります。
最後は呪いもとけ、十二支の異端児、猫になるという呪いにかかっていたキョウと透が結ばれます。
最近はラストを曖昧な状態で読者の想像に任せる的な終わり方の漫画もありますが、ベタですがハッピーエンドで終わってくれたのも、最後まで楽しめた理由の一つです。
その他の魅力としては、出てくるキャラクターがみんな美男美女なところです。これは、ストーリーとは全く関係ありませんが、漫画として重要だと思います。
十二支+の猫の動物に変身する草魔家の登場人物たちが見どころ!
ネズミ、牛、トラ、ウサギ、タツノオトシゴ、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、イノシシ、猫に変身してしまう13人がとても可愛くて、カッコ良いです。それぞれコンプレックスを持っていたり、性格に特徴があり、好きな人がいたり、それぞれのキャラクターに親近感が湧きます。
みんな呪いから解放されたい、でもこの絆から離れるのは寂しいと思っていて、とても切ないです。
私がとても感動したのはトラに変身してしまう草魔杞紗ちゃんという女の子の話です。生まれ持った呪いのせいで、髪の毛と目の色が周りと少し違っているのでイジメにあってしまいます。引っ込み思案で、大人しいこともあって喋ることが怖くなり、失語症になってしまいます。
そんな中優しい透と由希に救われ、次第に元気を取り戻し、喋れるようになり、学校に行けるようになるのです。私の知り合いにも、イジメにあい話せれなくなってしまった子がいるので、その子と重なり余計に感動しました。
主人公の友達も見どころ!
主人公には、魚谷ありさという元暴走族の友達と花島咲という少し電波な友達がいます。魚谷ありさは、暴走族にいたころ赤い蝶と呼ばれる憧れの人がいました。その憧れの人が実は透の母親だったのです。
透や透の母親の優しさに救われ、暴走族から脱退することにしました。学校でも元暴走族ということで避けられていたのですが、透が積極的に話しかけ、友達になりました。花島咲は生まれつき他人の思考がなんとなく電波として受け取ってしまう力があります。小さいころにからかわれ、そのせいで他人とあまり関わらずに生きてきました。
ですが、透の心からの本当の優しさに触れ、人と関わるようになり、友達になります。
こんな人にオススメ
今、人間関係で悩んでいたり、恋や愛、優しさに飢えている人にとってもオススメです。読むだけで気持ちがほっこりしたりこんな人もいるんだと勉強になります。
フルーツバスケットは、今まで読んだ少女漫画の中で一番好きな話です。心が温かくなるこの本は、辛い時、傷ついた時に何度も読み返したくなります。