女の子ががんばるお話
女の子は人生の中で、誰でも一度はがんばって、きれいになりたいと思う時があるものです。それってなんのためだろう?
と考えたときに、一緒に未来に向かって進んでくれるお話である「カズン」のレビューを書きます。
カズンについて
作者:いくえみ綾
巻数:3巻
あらすじ
高校を何事もなく卒業して、フリーターになった主人公の女の子は、ちょっと太め。少女まんがの主人公には珍しいタイプです。でも、美味しい物をがまんできない、どこにでもいる女の子でもあります。
その女の子が、アルバイト先のレンタルビデオショップで知り合った同僚の男の子や、バーの経営をする男性、高校の同級生だったモデルの女の子などと知り合い、またすでにモデルとして大活躍しているいとこの女の子も関係して、自分を変えてきれいになりたいと主人公が努力していく物語です。
主人公はバーの男性に恋をするのですが、それできれいになりたい、痩せたいと努力して、本当にかわいくなって、バーの男性にも変化を認めてもらい、天にも昇る気持ちになります。そこで恋が実ったらとても素敵なのですが、バーの男性はバツイチで、しかも子どももいるので、主人公を恋人候補として見ることはまったくなく、さらに別れた奥さんとも大人同士の親しい関係を築いているので、主人公には入り込む余地がないのです。
自分が子どもで、歯が立たないことを思い知らされる主人公は、痩せてきれいになったことも無駄になるくらい、恋が実らない寂しさを、食べることで満たそうとしてしまいます。
見事にリバウンドしてしまった主人公を、昔からの親友や、モデルの元同級生、同僚の男の子が、それぞれの形で励ましてくれます。
時には辛辣な言葉も投げかけられますが、だんだん、恋はうまく行かなくても、きれいになることはあきらめてはいけないと思うようになり、自分のためにまた、体つくりや食事制限を始めていきます。
このまんがを読んだきっかけ
いくえみ綾のまんがを買い集めていて、ごく普通の女の子が努力してきれいになるお話を、いくえみさんが描いたらこういう感じ、という雰囲気が好きで読みました。時々辛辣な場面が出るところもリアルでかついくえみワールドです。
ここが見どころ
主人公が痩せたら可愛くなり、またメイクもがんばってするのですが、マスカラの塗り方が下手で元同級生に揶揄されたり、元同級生と恋人同士の、レンタルショップの男の子は、主人公の努力を素直に認めてくれたり、そのせいで元同級生が嫉妬したりと、少女まんがらしいエピソードも盛り込まれています。
昔からの親友は、やさしくはっきり主人公に意見してくれて、人に恵まれている主人公なのですが、それは彼女の持つ柔らかな雰囲気がそうさせているのだと、彼女以外の登場人物たちはみんな認めています。
その中で時々お話の中に表れる、有名モデルのいとこが、とてもきれいだけれど、実際はごく普通の女の子で、努力して今の状態を保っていることも伝えてくれます。
こんな人におすすめ
ごく普通の女の子が、自分の生活の中で輝いていく、等身大のお話が読みたい方におすすめです。