西炯子の作品「姉の結婚」は、フラワーコミックスアルファから発売されています。
西炯子といえば映画化もされた「男の一生」で一躍人気を博した漫画家ですが、本作「姉の結婚」はどのような作品なのでしょうか。その魅力をたっぷりお伝えしたいと思います。
姉の結構について
作者:西炯子
巻数:全8巻
簡単なあらすじ
「姉の結婚」は大人のリアルな恋愛描写を得意とする西炯子の真骨頂というべき作品です。
主人公はアラフォー、独身で図書館司書をする傍ら、書評の執筆活動もこなすキャリアウーマン、岩谷ヨリ。そのヨリに幼い頃から長年想いを寄せ続ける精神科医、真木誠。
しかし、大人になった二人が再会した時、誠は結婚しており…。結婚というものに希望が持てないヨリが、誠の真剣な愛に少しずつ心を動かされていく、結婚と純愛の狭間で揺れる、大人達のラブストーリーです。
大人のリアルな心理描写が見どころ!
「姉の結婚」の魅力はなんといっても、現実味溢れる登場人物達の心理描写にあります。
仕事ではキャリアを重ね、社会的な評価を得ているヨリは、心の内では自分にコンプレックスを抱えていて、素直で明るい妹を羨ましく思っていたり、こんな自分を愛してくれる人などいないと悲観しています。恋愛に自信が持てないヨリの姿には、とても共感するものがあり、とても他人事とは思えない切実さを感じる方が多いと思います。
また、恋愛だけではなく、主人公達が仕事に打ち込む姿が生き生きと描かれており、浮世離れした少女漫画とは違い、人生そのものをリアルに感じとることができる作品です。
ヨリと誠、それぞれがしっかりと自立した大人同士であるがゆえに、表立って感情的なシーンはとても少なく、途中じれったい思いになることもありましたが、冷静に振る舞いながらも相手を真剣に想う二人の心理描写や、心を通わせる時の恋愛描写はかなり胸を熱くするものがあります。
こんな人におすすめ!
「姉の結婚」は結婚について悩んでいる大人の女性に、ぜひ一度読んでほしい作品です。結婚できる気がしない、仕事が忙しくて恋愛する気になれない、今付き合っている人と結婚できるのか不安、など、様々な悩みを抱える女性の心にきっと響くはずです。
結婚というものは、お互いの愛情の延長線上にある、ということは誰でも頭ではわかっているものの、本当にそんな綺麗なものなの?と疑いたくなる時もありますよね。
本作「姉の結婚」はそのような思いを主人公ヨリが誠の純粋な愛によって乗り越えていく美しさのある物語なので、ぜひ一度ご覧ください。
おわりに
少女漫画を読んで「こんないい男いるわけない」とか「現実はこんなうまくいかないよ」と冷静な目を向けてしまうことがないでしょうか。
「姉の結婚」では、人生の苦い経験やコンプレックスなど、誰しもが共感できるようなリアルな世界観を見事に描き切っており、なかなか他の少女漫画では味わえない心に染み入る読後感がありますので、ぜひお試しください。