今回は成田美名子さんの爽やかなアメリカンストーリー「エイリアン通り(ストリート)」をレビューしたいと思います。
簡単なあらすじ
アメリカのロサンゼルスを舞台にした物語です。フランス人の男子大学生「ジェラール」はひょんなことから、大学の人気者で眉目秀麗な少年「シャール」と知り合いになります。
シャールはまだ十五歳の少年で、飛び級で大学に進んだ秀才。ビバリーヒルズの一軒家に執事とメイド代わりの女の子と一緒に住んでおり、いかにも裕福そう。それを見た貧乏学生のジェラールは、自分とシャールの境遇との違いに驚きつつ落ち込みます。
そんな折、シャールはジェラールに、住み込みで車の運転手になってくれないか?と依頼し、同居することに。この同居をきっかけに、シャールのミステリアスな生い立ちが徐々に判明し、二人は様々な事件に遭遇していくのですが・・・。
エイリアン通りについて
作者:成田美名子
巻数:電子書籍で「全4巻」
絵に描いたような王子「シャール」の活躍が見どころ!
物語の導入ではジェラールが主人公ですが、途中からシャールを中心としたストーリーになっていきます。シャールは金髪に金色の瞳の(実際の女装も似合う)女優の様な美少年。見た目には欧米系の顔つきなのですが、物語が進んでいく内、アラビア半島のある国出身で、更に国王の息子(つまり本物の王子)という生い立ちが明かされていきます。
中東系とは違う顔つきの裏にある、その複雑な裏事情も明かされ、最後にはシャール自身の進路まで含めて、悩んでいく姿を描いています。
ざっくりレビュー&こんな人におすすめ
なんといってもこの物語は、途中から主人公になっていくシャールの、ユーモラスでウィットに富んだセリフとビジュアルのカッコよさ、頼り甲斐のある行動力と判断力が魅力的です。またシャールや執事、女の子、ジェラールのそれぞれが異なる国からやってきたという人種構成も、アメリカらしくオシャレで、キャラクター全員がそれぞれ魅力的に描かれており、テンポが良く、どこから読んでも安定した面白さがあります。
日本人の女の子との恋愛エピソードも有りますが、あまりベタベタと密着するシーンは無く、ジェントルマンなシャールの設定に即した、軽い仕上がりです。
また途中でシャールの幼少時代の家庭教師や幼なじみの女性が登場しますが、これらもまた魅力的。この作品は1980年から「LaLa」で連載されていた作品の為、名称や言い回し等がやや古い部分もありますが、今読んでも爽やかで朗らかな気分にさせてくれます。ユーモラスな行動や名作映画から引用したセリフもオシャレな、中高生女子全般にオススメの名作マンガです。