今回は岡野玲子さんが華麗に描く、平安時代の物語「陰陽師」をレビューしたいと思います。
漢字が多く、名前の読み方も今のように単純ではなく、やや難解な表現があり、少しとっつきにくい印象がありますが、読んでみるととても面白く、昔の雅な雰囲気を味わう事ができる、とてもよく出来たマンガだと思います。
陰陽師について
作者:岡野玲子
巻数:全13巻
簡単なあらすじ
王朝文化が花開いた平安時代。雅に見えるこの時代においても、影で人々は常に、鬼神、妖魔、怨霊といった禍々しく陰惨なものの存在に脅かされていました。そんな中、狐の子と噂されている少年「安倍晴明」は、ある晩、異形が迫りくる事を予見して師匠に知らせ、難を逃れます。
この出来事以降、師匠は幼い晴明に陰陽道の全てを教え伝え、師匠の死後、晴明は内裏の鬼門となる位置に居を構えます。こうして、安倍晴明の陰陽師として活躍が展開されていくことになります。
優雅な平安時代に起こる災禍を紐解く、安倍晴明の活躍が見どころ!
この「陰陽師」という物語は、陰陽道に精通した最強の陰陽師「安倍晴明」と、晴明が唯一心を開く親友的存在の貴族「源博雅」の二人を中心に展開していきます。晴明は色白で長身で細身の美男子であり、どんなことにも動じないクールな性質。
一方、博雅は誠実で純粋で不調法な男で、貴族の必須の嗜みともいえる恋の歌に疎く、女性の扱いには不慣れ。しかしそれら全てをくるめて、晴明からその性質を気に入られています。ただし、管弦には類まれな才能を示し、笛を吹くと怨霊を鎮める事があるほどの力を秘めています。
全部で13巻ありますが、数話で1つの物語が解決する作りになっていて、上記設定を飲み込んでおけば、どの巻のどのエピソードから読んでも大体理解できる内容になっています。
基本的には博雅が、どこかから事件が起きたと噂を聞きつけ、それを晴明に相談する事から物語が始まります。
晴明が現場を見たり、事件の詳細を尋ねたりする内、その原因を晴明が突き止め、怨霊、式神、妖(あやかし)といった禍々しいモノを、晴明の深い知見と巧みな能力により、排除していくこととなります。
摩訶不思議で奇怪なエピソードも多いのですが、落ち着き払った晴明が魔術のような文言を唱えたり、原因となる怨霊や妖をなだめたりして、問題をスパッと解決してしますので、読み終わると読後感もスッキリしています。
ざっくりレビュー&こんな人におすすめ
この「陰陽師」は少女マンガというくくりではありますが、タッチが写実的で、比較的リアルな為、少し怖い印象を持たせる絵柄です。
その為、ちょっととっつきにくいと思われる方も多いのですが、実在する古典文学等からも様々なエピソードが引用されていますので、当時はこういう考えだったのかな、と勉強になるところがあり、感心したりもします。
魔法のような力や呪文で解決していく、ちょっと不思議な物語ですので、古典好きな方や、目に見えない呪いのような物を信じてしまうような方にもオススメ。きっと夢中になれるマンガだと思います。