海外ドラマ風、人間関係や人生の縮図の一種「カリフォルニア物語」の感想を書きたいと思います。
カリフォルニア物語について
作者:吉田秋生
巻数:少女コミック全8巻、文庫版4巻
あらすじ
アメリカのカリフォルニア州、サンディエゴというメキシコに近い都市に住んでいるハイスクールの主人公の少年はお父さんとの決裂、麻薬取引のグループ達とのいざこざによって今住んでいる生活から逃げ出してアメリカ東部のニューヨーク中心地マンハッタンのソーホーというところにいる知り合いの側に移住した。
そこでの知り合いのトラブル、故郷の兄の事故死、知り合いの死、まだ若い少年にとっては苦痛の様々な境遇の中で何かを感じ、助け助けられ人生を模索するというストーリーです。
レビュー
まずはタイトルのカリフォルニア物語ですが、内容の大部分はニューヨークでのお話になりますのでちょっとイメージとは違ってきてしまいますが、主人公の少年のちょっと騒がしくでも悲しい人生を一緒に体験する感じになると思います。
すごく人々の心情や街の情景が新鮮に丁寧に描かれていますので必ず何か心に引っかかるものがある掘り出し物の作品です。しかしとても少女コミックとは違って女の子の為とは思えない設定ですが繊細で美しいイラストレーションとセリフ群の数々は少女読者の心だけでなく読んだ人全ての心に響くものが十二分にあります。
何か心に悩みを抱えてしまっている、生きるということはどんな困難が待ち受けているのか、どうやって乗り越えたりやりすごしたりしていけばいいのか、など人生に苦しみを感じている人達が読むと何かのヒントが得られかもしれないと思っています。
ただちょっとショッキングなドラマやイベントなども含まれていますから10代後半以上くらいになった人達が読んでみますと共感を得やすいと思います。
人生ドラマ、思春期、などがこのコミックのキーワードになるのではないかと思いますがそれ以上に何となくはかない感じもしました。主人公の少年の年齢は18歳から20歳あたりで原作者の秋元先生もこの作品を発表した当時は同じくらいの年齢だったそうですので大人でありつつも幼い感じの独特の心の叫びというか、そういった感情を表現されるのがとても読んでいる最中は何かに打たれたみたいな気分にもなりました。
上流家庭で育ったにも関わらずコンプレックスを抱えスラムのようなところで新たに自分を探す生活をして…など何かにつけてリアルさばかりでなのにファンタジーを見ているみたいな気分にもさせられたりとすごく不思議な気持ちで自分と比べたりする機会を持てました。
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