今回は、池谷理香子さんの「微糖ロリポップ」について感想を書きたいと思います!
池谷さんのストーリーは他の作品にも共通して言えることですが、登場人物それぞれの気持ちが一方通行になり、中々報われないという、もどかしさやせつなさがとても魅力的です。
10代の高校生が主人公の少女漫画らしからぬ、両想いでハッピーエンド!に中々ならず、誰と誰がくっつくのか最後まで読めない危うさが、私のような(笑)疲れた心をがっちりと掴んで放しません。
微糖ロリポップについて
作者:池谷理香子
巻数:全7巻
簡単なあらすじ
この物語の主人公は『円』というピュアで元気な面白い女子高生です。
両親が宝くじで1億円当てたことで両親の夢を叶える為に円だけがある家に居候を始め、少年との出会いで世界が広がる話です。
ヒーローとしては2人のイケメンが登場します。1人目は同級生の「小野」という優しいがミステリアスな過去があり人妻に想いをよせる男子高生。2人目は「知世」という円の居候先の中学生で、不器用な愛情表現しか出来ないけれど一途な少年。
感想
正直どっちと最終結ばれてもいいよ!と思えるほど2人とも魅力的ですが、私は知世の若さゆえの愛情表現の下手さや照れ隠し、この年代に多い両親との確執や、好きな人に対する余裕の無さ、など一つ一つ丁寧に描かれる知世の表情に私も昔そうだった!と懐かしい感情も沸き上がり一番感情移入してしまいました。
またそういった傷つきやすい年齢でも、男らしくあろうと円を助ける所や、自分自身の不甲斐なさに落ち込んだり、幸せを思って身を引く優しさ、そしてそこに小野へ気持ちが揺れる円の態度も加わり、序盤はなんでうまくいかないの!と知世に対してせつなくなることが多かったです。
時間軸が3年ほど過ぎた終盤では、居候生活は終了し円は大学生、知世は高校生として描かれています。身長も伸び人間的にも丸く落ち着いた男性へと成長した知世は別の女性と付き合っています。
しかし円はようやく知世へ自分自身が本当に好きだったことに気付くのです。当たり前のように傍に居た人が居なくなって初めて重要性に気付き、離れた知世の気持ちをどう取り戻すことが出来るかどうか、最後まで展開が読めない、キュンキュンが止まらない最終巻で物語りを終えます。
あたりまえにあるものは、離れてみないとそのありがたさがわからないものです。そんなもどかしさを感じさせてくれるおすすめのマンガです。