少女マンガというと学生モノばかり、もう少し大人の女性向けで適度に夢を持たせてくれる作品はないかしら、そう思っている女性におすすめなのが石井まゆみさんの「歌うたいの黒うさぎ」です。
歌うたいの黒うさぎについて
作者:石井まゆみ
巻数:全10巻
簡単なあらすじ
この作品は、とにかくお金持ちで大きな楡屋敷家の坊ちゃまと、彼に気に入られてメイドとして働くことになった森永永森子(えりこ)との心温まるお話です。
気難しくてひねこびた坊ちゃまがズボラで適当な永森子になつき、ドンドン心を開いていく様子が描かれています。
見どころ!
この作品の舞台は大金持ちのお屋敷ですので、主人公も周囲の人達も黒(たぶん)のメイド服です。ちょっとサブカルな感じと思いきや、内容は坊ちゃま(叶夢:かなむ)との心のふれあいと、永森子の人間的成長を描いた作品です。
見どころは、好き嫌いが激しくて警戒心の強い坊ちゃまが、永森子にだけは異常になつき、他の人達とは別格の扱いをするところです。
叶夢に「黒ウサ」と呼ばれている永森子ですが、何があっても叶夢は二言目には「黒ウサ~」と呼ぶので、周囲の大人たちは面白くありません。ここまで叶夢の心を掴む永森子ですが、特に取り入ろうとしている訳ではなく、優秀なメイドでもないのです。
常にサボることを考えて、叶夢といても「教育する」「ふさわしい扱いをする」ことなく、普通の子供として接しているので親近感が湧きます。
叶夢も最初は大人が手を焼く程こましゃくれた性格だったのが、永森子になついて段々と子供らしく素直な性格になり、可愛らしさがにじみ出てきます。
しかしそんな永森子も、段々と叶夢のことが可愛くて仕方無くなり、離れがたい存在に感じてきます。この心理的な変化を、少し粗いタッチで上手に描いています。
恋愛的要素は殆どないのですが、結果的に坊ちゃまと一緒になるには父親である楡屋敷家ご主人の数知と結婚するしかありません。
数知は鈍感でしかも不器用な性格で、永森子のことも殆ど気にかけていないのですが、後半は段々と永森子に興味を持ち、最終話ではもしかしたらロマンスに発展するかも、という含みを見せているのが印象的でした。全部まとめてハッピーエンドにするのではなく、将来を期待させるところもマンガのストーリーを作るテクニックだと感じさせます。
こんな人におすすめ
「壁ドン・顎クイ」など、当たり前のラブロマンスには飽きた大人の女性や、自立していて、かつこれから大きな夢を追いかけたいと思っている女性にピッタリです。