美しい絵柄、魅力あるキャラクターに、楽しい学園生活。
かと思いきや、旧家の暗部に迫る、ミステリー的側面も持つ……そんな、沢山の顔を持つ作品が「てるてる×少年」です。
てるてる×少年について
作者:高尾滋
巻数:全11巻
あらすじ
御城紫信(おしろ しのぶ)は、信州の旧家・御城家の跡取り。今は実家を離れて、東京の親戚宅で暮らしています。
そんな彼女のもとへやって来たのは、幼馴染の忍・奥才蔵(おく さいぞう)。幼い頃の「紫信を護る」という約束を果たしにきた、と言いますが……。
みどころ
最初は紫信や才蔵を中心とした中学生の、楽しく可愛い学園コメディです。キャンプや学校行事などを楽しむ様子は微笑ましく、旧友達も良い味を出しています。
しかし紫信が襲撃されたり、途中から、だんだん不穏な展開に……。
紫信と母・松子の不思議な距離感や、何かに怯える紫信の幼少期の体験など、秘密が少しずつ明らかになっていく様は、続きが気になって堪らなくなります。
特に終盤は、旧家・御城家が隠し続けてきた暗部が明らかになり、それに関連した悲劇も起こります。過去を清算しようとする親達と、真実に立ち向かう子供世代。
万華鏡のように、色々な魅力を味わえる作品です。
個人的にグッときたポイント
中学生の紫信や才蔵、幼馴染の左介など、初々しい中学生も魅力的ですが……この物語で印象に残ったのは、紫信の母・松子を始めとする、大人達でした。特に、何かの秘密を抱えた左介の長兄・義人や、紫信が「兄さま」と慕う親戚の正吾が。
また、松子と正吾の間にも、何らかの因縁があることが示唆され、初期から気になっていました。紫信の出生の秘密と合わせ、最後まで注目した部分です。
ヒロインの魅力
ヒロインの紫信は美しいけれど、お嬢様らしく気位が高く、ワガママな部分があります。でもその奥には、心細さを隠そうとする強がりや、親の愛情を得られなかった寂しさ。
そして何より、年に似合わぬ度胸と聡明さ、隠れた優しさを持っています。主人公の才蔵が、命をかけて仕え、護ろうとするのもむべなるかな、と思わされるほど。特に中盤からは、年相応の可愛らしさが覗き、ますます魅力的です。
主人公の魅力
主人公の才蔵は、普段は気弱で臆病な、優しい少年。でも事あらば、主を救う為に危険もかえりみない、忠実な忍の顔を見せます。半面、彼女への許されない恋心に悩む、年相応な部分も……。
紫信のみならず、才蔵が抱えた秘密が明かされる終盤は、意外な展開に驚きました。
こんな人にオススメ
可愛らしい恋と、過去の暗部を追うミステリー……。
両方が詰まった作品なので、読み応えのある、それでいて、後味の良い作品を探している方にオススメです。
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