歌舞伎(梨園)の世界は何か敷居の高いイメージがありますが、この漫画は主人公の御曹司のアホさが親しみを感じさせてくれ、自分も一度は歌舞伎の舞台を見に行ってみたいなと思わせてくれる作品です。
ぴんとこなについて
作者:嶋木 あこ
巻数:全16巻
登場人物の紹介とあらすじ
主な登場人物は、恭之助、一弥、あやめ、優奈の4人です。
主人公の恭之助は由緒ある歌舞伎の名門の御曹司。小さい時から稽古をつけられ期待を背負っていますが、生まれながらのアホ(お坊ちゃまが故、ただ純粋なだけとも言えますが…)で、芸にもいまいち身が入っていませんでした。そんな時、歌舞伎好きの女子高生、あやめに出会います。あやめに好かれようと芸に磨きをかけるため稽古に精を出すようになります。
一方の一弥は一般家庭の出身ですが、小学生の時に歌舞伎の世界に飛び込み、少しずつ実力をつけていきます。最初は小学校の同級生だった初恋の相手のあやめの為、歌舞伎を頑張ってきました。
しかし、歌舞伎界で名を上げたいと思うようになります。ただ、やはり御曹司でないため、なかなか思った通りにはいきません。そこで、師匠の娘の優奈と婚約することで歌舞伎界での地位を確立しようと考えます。
あやめは、実家の事業の失敗で貧乏になってしまい、バイトをしながら学校に通う苦学生です。小学生の時から一弥だけを思い続け、やっと彼と再会できましたが、自分の存在が一弥の成長の妨げになると思い、自分から身を引きます。
優奈は一弥の師匠の一人娘です。おっとりしたお嬢さんですが、一弥を自分のものにするために関係を持つようになります。そして、一弥と婚約にまでこぎ着けます。しかし、気持ちが弱く自信がないせいか浮気をしてしまいます。
見どころと感想
一弥のキャラがなかなかダークです。一般家庭の出身でありながら、あやめを思い続け歌舞伎界で芸を磨き、少しずつのし上がってきた一弥は「なんて一途でまじめなイケメンメガネ男子!」と最初は思っていたのですが、自分の歌舞伎界での地位の為に師匠の娘と関係を持ち、挙句婚約までこぎ着けるものの、名前もろくに知らない女を自宅に連れ込んで関係を持ったりと、なかなかの人物です。
一方で歌舞伎に対する情熱は本物で、御曹司でないことで後ろ盾がなく苦悩する一弥の気持ちも切ないです。恭之助は御曹司とはいえ芸はいまいち。
ところが、稽古を積むごとに芸に華が放たれるようになり、これが生まれ持った御曹司の血なのだと、一弥も認めることになります。
物語は恭之助と一弥の芸の磨き合いが主ですが、恭之助のあやめ愛が半端ないです。あやめのおかげで恭之助の芸にも磨きがかかりますが、あやめのこととなるとすぐに浮かれてしまい、読んでてあきれてしまいますが、恭之助は最後まで憎めない存在でした。
最後に
終わり方も、ハッピーエンドですし、粋に終わりますので気分よく読み終えることができます。
以前ドラマ化もされていますので、そちらをチェックしてから読んでみてもいいかもです。