今回ご紹介する「お伽噺を語ろう」は、一清&千沙姫シリーズとして続く物語の第一弾です。
お伽噺なので、全然史実にあった国の事ではありません。一般的な歴史ものの作品を期待していたらちょっと違うかもしれませんね。
それは主人公の千沙姫がかなりほんわかしたお姫様だからです。
お伽噺を語ろうについて
作者:柳原望
巻数:全1巻(シリーズとしては6まであります)
簡単なあらすじ
物語の舞台はとある小さな国。時は戦国。安住の国の姫、千沙は、幼い頃から加賀の国の一清という許嫁がいました。
大国の安住には男の子が生まれず、一清を後継者にと考えていました。
また加賀は安住に比べるとかなり小さな国です。他の国から守ってもらう必要がありました。
物語は、千沙姫が加賀へ輿入れしたところから始まります。ところが、輿入れした当日、なんと隣国の侵入に遭い、当事者である一清はいないと言われてしまいます。
広いお屋敷の隅っこに自分の部屋を用意され、もしかしたら側室が大勢いるのではと不安になる千沙。
また使用人たちはすぐに千沙から離れていきます。使用人たちからも自分は迎え入れてもらえていない、と感じる千沙は早くも帰りたくなってしまいます。
更に一清からの贈り物として渡された馬は、暴れ馬。千沙は耐えられなくなり、「国に帰る!」と自分の侍女かえこに伝えます。
ところが、自分に用意された部屋は屋敷内で一番日当たりが良い場所で、使用人たちも分けあって避けていたことを知ります。屋敷内に残る一清の影を感じ、このまま残ることを決めます。
そして、たまらず千沙は戦場にいる一清に会いに行ってしまうのでした。
千沙姫に負けないくらい天然な許嫁・一清
とにかく天然っぷりがすごいです。というか、わがまま姫という感じがあります。
双子の侍女、かえこときえこは長らく姫に仕えていますが、かなり振り回されてきています。ただ、天真爛漫ともいえる明るさがある姫なので、二人も長く仕えてきています。
一方で、許嫁の一清もなかなかの天然ぷり。千沙のお願いに頓珍漢な答えを言ったり、千沙を戸惑わせることも。なかなかいいコンビです。
他人の気持ちに鈍い面があったりするのですが、加賀を守るためには非常になる面も持っています。
それは過去の出来事からなのですが…。
幸せな出来事ばかりではなく、過去の悲しい出来事もある加賀。いかにこの国を守っていくかということをだんだんと千沙も考えていくようになるのでした。
おとぼけなお姫様が、少しずつ変わっていくところは見どころだと思います。
おわりに
一般的な歴史ものよりもコメディー要素も多く、また恋愛面もあるので難しい歴史ものが苦手な人にはおすすめです!少しずつ変化していく千沙姫。
そして一清の強い思いを知っていくと、二人には幸せになってほしいと思えてきます。
物語としても1巻で読み切れるのも嬉しい点です。
ぜひ一度手に取ってみてもらいたい作品です。