芸能界、作家、女優、ついでに三角関係。こんなキーワードてんこ盛り。
でもベースはあくまでも高校生の女の子らが自分の足で人生への足がかりをつかんでいく力強い主人公達の成長物語。全編一条ゆかり先生らしーいコマの連続。華やかな一条ワールドを堪能したい方にはうってつけの作品です。
女ともだちについて
作者:
巻数:全3巻
こんなお話
高校生にしてはお堅い人生設計を描いている菜乃。高校生ですでに売れっ子モデルのこずえ。この二人の友情が一人のオトコの出現で試され、同時に二人の人生もそのオトコをめぐって変化しどんどん急展開をしていきます。
こんなはずではなかったと思いながら予定外の世界に飛び込むことになった菜乃。こんなはずではなかったと思いながら仕事仲間として彼女を受け入れ同時に恋のライバルにもなるこずえ。
女にとっての友情と仕事、そして人生の設計図はいつの時代もお悩みの種。二人を見守る母親とその女ともだちの二人がこの若くて発展途上の女子高生たちにどんな問いかけをしていくのでしょう。
そして二人の恋の決着は?
ここは読み応えあり!
このストーリーはかなり昔の物でありながらあまり古さを感じさせません。どの時代にも普遍的な、誰にとっても問題なことを取り上げているからです。
同じ人を好きになってしまう、女子高生たちの心の激しい動き。そしてあくまでも友情を大切にしたいという葛藤。得た仕事に真剣に向き合って傷ついていく様。どんな人にもどんな時代にもこれらに体ごとぶつかっていかなくてはならない現実は変わることがありません。
しかし何しろ舞台が舞台。欲しい映画の役柄と愛を得たい人が同じ。ある意味すさまじいまでの極限状態。
穏やかでやさしい主人公の友人こずえが面立ちを一瞬で般若のように変えて宣戦布告をしていく様子はぎょっとするほど迫真で、それを受けて傷つく主人公を決して甘やかすことのない母親の放つシビアなセリフも刺さります。
女性であれば身に覚えのある苦い人生の局面の数々を、鮮やかな画風が甘く苦しい物語へと昇華させてくれています。
最後にこずえが主人公の背中を押す場面。こずえは厳しい表情から一転して「どうしていつもそうなの!少しでも可能性があるならあきらめないで。」とライバルの菜乃を力強く励まします。
何事も勝ち取っていかなくてはならないことや、必ず敗者が出る人生の厳しい現実。これらをしっかり一気に引き受けていくこずえの女子力と美貌。ここが一番の見どころです。
こんな人にオススメ
これは映画の撮影を通した成長物。ですのでどのコマとっても華やかです。ついでに撮影風景や創作風景などの裏側もちょっぴり覗けてオトク。
徹底的に華やかな気分に浸りながら人生前向きになりたい人に、少女漫画の中の少女漫画といえる本作品はとってもお薦めです。