今回は、1993年から1999年にかけて「ヤングユー」で掲載され、フジテレビで実写ドラマ化もされた「槇村さとる」さんの「おいしい関係」をレビューしたいと思います。
おいしい関係について
作者:槇村さとる
巻数:全16巻
簡単なあらすじ
お嬢さん育ちで、幼い頃からおいしいものを沢山食べてきた主人公「藤原百恵」は、短大卒業前に父を突然亡くしたことで、それまでの裕福な日常生活が一変し、自ら働いて母を養っていくことを決意します。
働く場所を探しながらも、就職に有利となる資格もなく途方に暮れていたところ、小さなレストラン「プチ・ラパン」を見つけます。店に入った百恵は、そこで出されたコンソメの味に懐かしさを覚え、人手不足を嘆くオーナーに「この店で私を雇ってください」と頼み込みます。
プチ・ラパンはオーナーとは別に、腕利きの男性若手シェフ「織田」が働いており、コンソメはその織田により作られたものでした。皮肉屋で無愛想な性格の織田でしたが、仕事に厳しく、作る料理は一級品で、百恵は性格的に対立しつつも、その織田のシェフとしての腕前に少しでも近づこうと努力していきます。
強い信念と真っ直ぐな性格で困難を乗り越えていく主人公が見どころ!
この作品はなんといっても、主人公「百恵」の頑張りがすごいんです!
彼女は、裕福な家庭で幸せに育てられたお嬢さんなので、精神的にも肉体的にもか弱そうに感じるのですが、物語の冒頭で父を亡くし、突然、レストランでコック見習いとして働くようになると、お嬢さんとは思えない頑張りが徐々に発揮されるようになります。学生の頃は知らなかった現実に向き合うようになっても落ち込んだりせず、いつも元気に明るく奮闘します。
様々な事件が起こり、先輩コックである織田とも対立しますが、彼女の「おいしい料理を作りたい」という信念はゆるぎません。小さい頃からおいしいものを食べている為、舌が肥えているという設定も、シェフ修行において、あちこちで効果を発揮していきます。
お嬢さん育ちならではの真っ直ぐな気質も手伝い、困難を乗り越えて、料理の腕を徐々に高めていくところが見どころです。
こんな人におすすめ
他の仕事と比べても「つらい」と言われるレストランやコックの仕事、ましてやお嬢さん育ちの百恵に務まるのか?!と、不安にさせるところから物語が始まります。
しかし話が進むにつれて、気持ちの強さやお嬢さんならではの性格の良さで運命を切り開いていく主人公の様子は痛快で、面白いです。物語を膨らませる脇役も次々に登場しますが、それぞれのキャラクター設定も絶妙で生き生きとしており、全16巻ありますが、どんどん読み進めていけます。
現実社会でつらい目に遭っていたり、将来への不安で悩んでいる読者の方にとって、励みになるストーリー展開となっていますので、元気をもらえるマンガをお探しの方に、是非とも読んでいただきたいです!