お弁当屋さんで働くあっちゃんと、その彼氏晃平、そして晃平の上司の高野さんという、大人の三角関係です。
三十路手前という微妙なお年頃ゆえの、感情だけで突っ走れない心の葛藤を丁寧に描いています。
にこたまについて
作者:渡辺 ペコ
巻数:全5巻
簡単なあらすじ
お弁当屋さんで働くあっちゃんと、彼氏の晃平は仲良く上手くやっています。ですが、晃平が事を起こしてしまいます。
その出来事とは、ある日晃平の会社の飲み会の帰り道で、上司の高野さんに誘われ、そのまま関係を持ってしまったことです。そしてあろうことか高野さんは妊娠します。これを機に、平穏な二人の日常が少しずつずれ始めます。
ずれては修復を試み、それでもやっぱり…そしてあっちゃんの身にもいくつかの転機が訪れます。
見どころ
まずは、あっちゃんのさばさばした性格、美味しそうな料理、センスの良いインテリアに惹き付けられます。そのセンスの良さも、どうだと言わんばかりの押し付けがましいものではなく、あくまでさりげなく、そんなところにもあっちゃんらしさが表れていると思います。
そして耕平くんがとても優柔不断で情けないのですが、それでも絶対的にこの人はあっちゃんのことが大好きなんだなと伝わってきます。とても応援したくなる二人です。
かといって、高野さんのことも決して悪者にはなっているわけではありません。全ての登場人物がとても人間らしく描かれていて、作者の方の愛情が滲み出ているように感じます。
あっちゃんの話す言葉はどれも真っ直ぐ、でもすごく考えて話してるんだなと思います。私もあっちゃんのように、自分のことも相手のことも大切に、真摯に言葉を選べたらって思います。
こんな人におすすめ
悩める同世代はもちろん、それ以外の人たちにも是非読んでほしい作品です。
恋愛や結婚、そして妊娠と、人生のビッグイベントが、自分や自分の周りでたくさん起こるお年頃ですが、これらは全て自分ががんばってどうにかなるものではありません。私の場合、この作品を読むことが、そこに感じる不条理さを少し軽くしてくれ、前を向かせてくれました。
世の中は他にも不条理なことだらけですが、それらに対し感情的になって振り回されるのではなく、ひとつひとつゆっくりと、自分の気持ちと向き合って考えて、そうすることで、たいていは前に進んでいけると感じました。
あっちゃんが最後に選んだ結末、その時に言った言葉、、人生にはそういう着地のしかたもあるのか!と、この作品に教わりました。