イケメンの王子様的キャラが登場する恋愛物の少女漫画って、多いですよね。
普通は学校1の人気者とかなのですが、なんとこの作品では、ヨーロッパの某国(※架空)の本物の王子様が、日本の高校へとやってきてしまうのです。
リアル王子様と日本の女子高生の恋愛物、それが『君とカンビアーレ!』です。
君とカンビアーレについて
作者:みやうち沙矢
巻数:全3巻
あらすじ
主人公の名前は中村小花。地味な外見の女子高生で、クラスで孤立しているわけではありません。
でも、『友達』の間で、実はパシリ的な役割をやらされていたりと、大切にされているわけでもなさそうです。
そんな彼女のクラスに突然やってきたのが、とある国の金髪のイケメン王子シグルド。
王子の世話係にされてしまった小花の運命は――といったお話です。
総評
この作品の中心は、何と言ってもヒロインの小花とイケメン王子シグルドです。
ですが、バリバリに恋愛特化というわけでもなく、ある程度、周囲の状況の変化なども描かれています。
たとえば、最初は全くの地味子だった小花が王子によって外見等も変えられてしまうのですが、多少イケてる見かけになったことによって、それまで彼女をパシリ扱いしていた周囲の女子の反感を買ってしまうのです。
と言いましても、ドツボにはまるくらい暗い方向に行くわけではなく、意外とアッサリ気味に解決したりもするのですが、そのことによって小花も考えさせられたり、周囲との関係も変化したりと、恋愛以外の部分にもそれなりに触れられています。
最初は王族はシグルド1人なのですが、話が進むにつれて兄王子や、別の国の王女様なども登場し、より華やかになっていきます。また、シグルドの父である現在の王や、シグルドの母親の話などもストーリーに絡んできます。
シグルドとは性格の違う兄王子アンドレアが小花にアタックをかけたりするのですが、こちらもドロドロするところまでは行かず、設定的にもそれなりに考えられています。
最終的には結婚も視野に入れたお話となっていくのですが、こちらもいい意味で少女漫画らしいハッピーエンドとなっており、後味が悪くなることもありません。
作者のあとがきによれば、最初は話がうまく回らなかったが途中から改善されて読者からのリアクションもよくなってきた(※大意)、とのことです。実際、読んでいても後半になるにつれてストーリーが盛り上がりを見せていく感覚はありました。
印象的なポイント
ストーリーの根っこはヒロインとシグルドの恋愛物ということになるのですが、シグルドが意外と紳士なところが、個人的にはひそかにポイントです。
イケメン王子が地味子を引き上げる、という形の話ではあるのですが、それと同時に、イケメン王子を地味子が癒す話でもあるのですね。