『日出処の天子』(ひいずるところのてんし)は山岸涼子さんという漫画家さんの傑作で古い漫画です。
聖徳太子と言えば皆さんは大変頭が良く五人の会話を聞き分けられたとか、万札の人という印象が強いかもしれませんね。
この漫画ではその聖徳太子が実は超能力者でホモセクシュアルであったという設定になっています。
それだけでも面白そうですよね?機会があったら是非読んでみて下さいね。
日出処の天子について
作者:山岸涼子
巻数:全11巻
あらすじ
聖徳太子は幼名を厩戸皇子(うまやどのおうじ)と言います。大変な美貌であり、知力胆力に優れ、幼くして宮中の重臣達から尊敬される程でした。
そんな皇子でしたが実は誰にも明かしていない秘密がありました。
それは、自分が一種の超能力を身につけている事です。
彼はいわゆる異形の化け物と話が出来たり、天から石を降らせたり、天候さえも左右出来るほどでした。しかし、それに気付いていたのは彼の実母だけでそれ故に実母から恐れられ母の愛情を得ることが出来ずに孤独な幼年期を過ごします。
皇子が10歳の時、蘇我毛人(そがのえみし)と運命的な出会いをします。毛人は彼の超能力を偶然知る事になりますが実母のように皇子を嫌う事なく、ありのままを受け止めてくれるのでした。
厩戸皇子は母から愛されなかった。それ故に女性というものに一種の嫌悪感を抱いているのです。
ありのままを知っても恐れないでくれる毛人に恋愛感情を抱くようになります。しかし毛人は男性としてある姫と恋に落ち、それが原因で皇子と別れる事になります。
恋に破れた皇子は跡継ぎを作るために結婚しますが、それは実母にそっくりの知的障害を持つ孤児だったのです。
見どころ
この作品では歴史考証もきちんとされていると感じられます。日本史に疎い私でも楽しみながら飛鳥時代の政権の移りゆく様を勉強させてもらいました。
厩戸皇子はその恵まれた知力、胆力そして超能力を駆使して自分の思うように政権を操作して行きます。それだけでも充分読み応えがありますね。
また、まだ『毒親』などと言う言葉も無かった頃の漫画ですが母の愛を渇望しながら果たせなかった皇子の歪んだ心が痛くてたまりません。
しかし、例え親でも完全ではないという事ですね。もし我が子が超能力者だったら受け入れる事が出来る人が何人いるだろうかと思うのです。
そんな自分を受け入れてくれる初めての人が男性だったとして恋心を抱いてしまうのは自然な事かもしれません。
才能があり過ぎた皇子がいかに孤独だったかと思うと可哀想ですね。
こんな人におすすめ
歴史漫画が好きな人、BL物が好きな人は読んで損はないと思います。
遠い飛鳥時代に思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。