今回は神秘的で感動できるファンタジーの「月の子」という作品をレビューしたいと思います。
月の子について
作者:清水玲子
巻数:全13巻
不思議なワールドに入り込める漫画
童話をモチーフにした漫画は数多くありますが、月の子 ‐MOON CHILD-ほど神秘的にアレンジして描かれている内容はそうそうありません。
月の子は、人魚姫のストーリーがベースとなっています。ですが、こちらに登場する人魚は水の中ではなく、月に住むという設定となっています。
そして、人魚姫のポイントを上手く取り入れながらも、さらにはソビエトのチェルノブイリ原発事故をもモチーフにしています。とにかく神秘的であり現実的でもある、そんな不思議な世界観が広がっている作品です。
設定からワクワク感が止まらない
月で育った三つ子の人魚、ベンジャミン、ティルト、セツは、産卵のためにニューヨークに泳いで行きます。
ただ、卵を産めるのは女性化するたった一人だけです。それだけでも、嫉妬、怒り、悲しみといった感情が生まれるのは必須の設定です。何かが起こらないわけがありません。
しかも、お決まりのように女性化するのが、よりにもよって落ちこぼれ設定のベンジャミンです。さらには、ベンジャミンを好きなのは人魚族の男性であるショナ、ベンジャミンが好きなのは人間のアート、そしてショナを好きなのはセツと、そして第一にセツのことを思うティルトといった関係が作り上げられています。
そんな恋愛感情の複雑さが、よりワクワク感が高まらせてくれています。
女性化という神秘的な設定が見どころ!
月や人魚といった神秘的な世界に加え、原発といったリアリティのある内容も盛り込まれていることで、よりそういった人物間の関係が複雑化していくところが面白いです。
さらには、女性化すると否応なしに惹きつける絶世の美女になるという設定が面白いです。女性化したベンジャミンは感情の不安定さから、美女に変身したと思えば、ちんちくりんの少年のような姿に戻ることを度々繰り返します。その度に、絶世の美女にすっかり心を奪われたショナが振り回されるのが面白いです。
また、ベンジャミンが女性化したことで繰り広げられる、三つ子の生憎劇も見どころです。ベンジャミンに意地悪する嫌われ者のティルトですが、自分の本心を吐露するシーンは、思わず涙してしまいます。
ラストにいくにつれ、涙なくしては見られないシーンの連続となっています。
神秘的で感動的なストーリーが好きな人におすすめ
月の子は、とにかく世界観の設定が不思議で神秘的です。ずっぽりとファンタジーの世界にハマることができます。
それでいて、随所に感動シーンも散りばめられています。特に、最終巻は涙が溢れて止まりません。
ファンタジーの世界が好きで、感動もしたいのであれば、是非月の子を読んでいただきたいです!
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