子どもの頃、不思議な力を持つ女の子に憧れたりしませんでしたか?
それにカッコいい男の子もあらわれたら!?なんて。
今回はそんな不思議な力を持つ女の子が主人公の「琉球のユウナ1巻」のレビューをしたいと思います。
琉球のユウナについて
作者:響ワタル
ご存知の方も多いと思いますが、沖縄の地域は昔、琉球国と呼ばれていました。琉球国の歴史は大きく二つに分けられ1609年以前を古琉球、以後を近世琉球と呼ぶそうです。この作品は古琉球を舞台としています。
作者がなぜ古琉球を舞台にしたのかというと、当時の国王の一人である尚真王が天女の娘を側室にしていたからだそうです。実際どうだったのかは諸説ありますが、こんなファンタジーなことがまじめな歴史書に書かれているなんて夢がある、と作者は思ったそうです。
そして、この作品は伝承で出てくる妖怪や精霊も出てきます。その中で、赤い髪に赤い肌、子どもの姿をしている「キジムナー」という妖怪がいるんですが、この作品の主人公ユウナはその「キジムナー」をモデルにしているようです。
あらすじ
ユウナは人さらいに追われていました。そこに助けにあらわれたカッコいい男の子。実はお忍びできていた国王、尚真王でした。尚真王は呪いをかけられていて神力の高いと噂のユウナを探していたのです。
ユウナは昔から人間でないモノと"声"を交わす能力があり、その上一際目立つ髪色のせいで物珍しさから人さらいにあったり、忌み嫌われていました。そのためかユウナは重度のコミュ障で、初めて尚真王と話すときはユウナのお供のシーサーを介してでしか話せないほどでした。そんなユウナをみかねたシーサー達は、この重度のコミュ障を治せ!となかば強引に尚真王の呪いをとく依頼を受けてしまいます。
ユウナ達はいったん故郷に戻ろうするのですが、その道中ユウナは人目にさらされるのがこわくてたまりません。途中ユウナは力を使って人助けをしますが、逆に怖がらせてしまい、ますますユウナは心を閉ざそうとします。しかし尚真王はそっとユウナを受け入れます。ユウナは自分でも気づかないくらい尚真王に惹かれていきます。
尚真王は子供の頃から、腹の内を見せればたちまち底なしの暗い闇に墜ちる、孤独な存在でした。そんな尚真王にとってユウナはこの闇の底に差し込む光のようでした。ユウナもまた尚真王との繋がりが消えてしまいそうで思い切ってある告白をします。
感想
この作品の1巻はコミュ障のユウナが生まれて初めて自分のことを受け入れてくれた尚真王に惹かれていくのが見どころの一つだと思います。人と向き合うのが怖い。私もそんな経験があるのでユウナの気持ちが痛いほどわかります。自分のことをわかってくれる人なんていないし、これからもあらわれないかも…。ユウナがそう思ったとき尚真王がそっと受け入れてくれました。
そしてユウナは、はじめて男の人を助けたいと思います。コミュ障なりに尚真王の為にがんばるユウナは少しずつ人が怖くなくなっていきます。思わず応援したくなるし、私もがんばろう!と前向きになれる作品だと思います。
こんな人におすすめ
ファンタジーが好きで恋愛の要素が入ってる作品が好きな人におすすめです。また、舞台が古琉球なので伝承で残っている妖怪や精霊が出てくるのでおもしろいと思います。ユウナは赤い肌で小さい妖怪キジムナーをモデルにしているということもあり、赤面症のちっちゃな女の子になっているのも良い設定だなと感じます。
この先も見逃せない展開が続きそうなので次巻も気になります!みなさんもぜひ読んでみてくださいね。
「琉球のユウナ2巻」のレビューをしました。よかったらこちらも見てみてくださいね!